展示内容についてよりも、前川國男先生に関して上野で感じたことを記してみたい。
まず、東京国立博物館に行く度に思い出すのが「東京帝室博物館コンペ」落選後に発表された「負ければ賊軍」という文章である。
コンペ応募規定の内容に、「その様式は内容と調和を保つ必要あるを以って日本趣味を基調とする東洋式とすること」との一文があり、いわゆる「帝冠様式」の渡辺節氏の案が採用された。
これに対して、旧体制的な建築会を批判する文章として「負ければ賊軍」は非常に有名なのである。
国立西洋美術館は前川先生の恩師コルビジェの設計である。
第2次世界大戦後フランス政府に差し押さえられていた松方コレクションを日本に変換する祭の条件として、西洋美術館の建設が求められた。
コルビジェ設計の基、彼の弟子である前川國男、坂倉順三、吉阪隆正の各氏が実施設計および監理に協力して完成した。
現代建築の祖であるコルビジェの作品に日本で身近に接することができることは喜ばしい限りである。
上野文化会館の打放しコンクリートの圧倒的材質感と反り上がった庇の形状が、初期の前川建築の特徴そのものと言えよう。
担当が確か大高正人氏だったと記憶している。
上野駅公園口に出ると、その正面にある文化会館から建設時のエネルギーをいつも感じる。
最後にコンサートで中に入ったのは5~6年も前になるのに。
東京都美術館は現在大改修中である。前川先生の後年における外装の標準仕様となる打込タイルと耐候性鋼板による作品のはしりである。
耐候性を考慮した「平凡な素材によって非凡な結果を創出する」との設計思想を踏襲した改築になるという。
一昨年、前川建築を訪ねて弘前を訪れたのだが、弘前市立博物館、弘前市斎場など打込タイルの美しさは益々昇華されていると感じた。
(阿部 泰資)
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