[北陸の街並]
長年機会を待っていた富山県高岡地方への旅が実現した。
「おとなの休日倶楽部」を利用した切符で、可能な4日間をフルに使い、高岡・新湊・井波・熊川宿・小浜と、素晴らしい環境が保全されている街並みを訪ねてきた。
北陸新幹線の開通で、大変賑わっているという金沢を除き、富山県と福井県に目的地を絞ったのである。
[高岡 山町筋]
高岡の山町筋には、明治期の大火後に耐火構造が義務付けられ、黒漆喰を塗った土蔵が切妻平入で50棟も連なる様は壮観である。現在は当然、重要伝統的建造物群保存地区の指定を受け、街ぐるみで保全に努めている姿勢がはっきりと窺える。
何軒かは観光客に店先を開放しており、重要文化財の菅野家住宅はボランティアの方々が内部を案内してくれている。北海道との通商で巨万の富を築いた高岡有数の商家であり、明治期からは高岡の近代化に貢献する一方、高岡政財界の中心的な存在として活躍された名家とのことである。メノウを砕いて塗った瑪瑙壁の床の間や、屋久杉の天井板、我々には想像を絶する仏壇など、富の一部は体感することができる。
[高岡 金谷町]
高岡の千保川の対岸に鋳物師達が移住して街立された金屋町は、通りに面して切妻平入で2階の両端に袖壁を付け、1階の柱間に格子戸を嵌め込んだスタイルを基本としている。
通りに面した母屋の奥に、中庭を挟んで鋳物の鋳造所を持つ土蔵を配している。
現在も鋳造が盛んで、若手の芸術家や職人が新しい感覚で大小様々なものを制作し、観光客向けに販売もている。一般的な観光地のみやげと異なり、作者が見え、オリジナリティ豊かな品々は非常に興味深いもの揃いである。
「ねっとこ金屋」というサイトで、金谷町の紹介の一つに「さまのこ(千本格子)マップ」があり、重要伝統的建造物群保存地区内での改築にも注意を払った保全の意識が伝わってくる。
[井波 八日町通り]
井波瑞泉寺の参道である八日町通りは、彫刻の街として特徴付けされている。参道沿いの店先で職人さん達が欄間の彫刻を彫っていたり、小物を販売していたりである。現在は町当局が、一般の町屋の店先を借り上げ、仕事場を持たない職人さんに開放しており、彫刻の街としての賑わいを確保し続けようとの取組は興味深いアイディアだ。
彼らの作成した彫刻は、軒に掲げる看板や、店先の看板、交通広場の櫓などストリート・ファニチャーとしても機能している。
[鯖街道 熊川宿]
鯖街道の宿場町としての風情を今に残す熊川宿は、浅野長政が諸役免除の宿場に指定したことにより発展した宿場町である。観光地としての宿場以外発展する要素もなく、重要伝統建造物群保存地区として、まさにロケーションが保存されてきたのである。
路に面して平入と妻入が混在しており、二階建ての町屋の中に、「逗子二階」と言われる低い二階の町屋も見受けられ、現在の宿場に至るまでの歴史(年数)を感じる。
町に寄贈された旧逸見勘兵衛住居は、建築家の吉田桂二氏の監修による改築工事がなされ、内部が公開されている。2階は宿泊に供されるよう改修されているものの、街道側の登り梁に沿った低い天井が往時を偲ばせる。









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