2012年4月9日月曜日

桜とスカイツリー


桜の季節である。この時期の日本人としては何よりも桜である。

ニュースも天気予報もまずは桜の情報からだ。
そこで、今回のブログは少々趣を変えたものにしようと思う。

4月8日は穏やかな晴天の日曜日であり、隅田公園は大変な人出であった。
去年は自粛ムードであったため、今年は通年以上の盛り上がりなのか。
更に今年オープンするスカイツリー人気が加わって、歩くものままならない程の混雑である。




日本人にとっての桜は単に花を愛でる対象のみでなく、その短命と散り際の見事さから日本人の生き様を重ねた対象としているとも言えるであろう。

そういえばかつて、日本通を自認するドイツ人建築家の友人に「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」の意味するところを伝えられなかったことを思い出す。
当然私の拙い英語力にもよるのだが、今日の風や明日の雨などにより散ってしまうのではないかとの心配を「ましかば~まし」などと厄介な文法をもって表現する心は日本人以外には伝わらないものかと痛感した次第である。

それにしても、あの美しさや明るさは人々を魅了して止まない。
本居宣長の「敷島の大和心を人問わば 朝日に匂う山さくら花」や、
西行の「願わくば花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃」など大変に親しまれていることからも判るというものであろう。


桜とともに人々のお目当てはスカイツリーであった。
特にこの時期のみの桜とスカイツリーがフレームに収まる写真は決定的目的のひとつである。


スカイツリーが五重塔の芯柱と同様の独立芯柱(他の構造部から独立し建っている)構造を採用していることは良く知られている。

しかし、非常に小さい建築面積の塔であることはあまり知られていないようである。
細長い敷地であり、底辺を広げられなかった条件のもとで634mの髙さの塔を設計することを可能にしたのは、鋼材の品質や溶接技術の向上に加え構造解析技術の進歩によるものである。

電波塔である以上、上部の形状は円または少なくとも多角形とする必要がある。
底辺を正三角形とし徐々に円形化する構造が、見る位置によりいわゆる「反り」や「ムクり」の日本伝統的ライン感じさせる効果を生んでいる。

夜間照明の状態を未だ見ていないのだが、オリジナルに開発されたLEDを使った戸恒浩人氏のライティングが、更なる日本的なるものを強調して見せてくれるようになるのか期待である。


(阿部 泰資)